今年の10月末に、とてもお世話になった方が亡くなった。
享年63歳。
まだ若すぎるし、いろんなことをやりましょうね、と話していた。それが10月に体調を崩され、なかなか出社できずにいたので一度ゆっくり休んで体調を整えてくださいね、と話していた矢先のことだった。
もともと、今の勤務先で商品開発の責任者を務めた方。自分が退職するときに、この方なら絶対に大丈夫、ということで当時の広報全般を引き継いでもらっていた。その後、東日本大震災や、取引先の不祥事による自主回収なども矢面に立って対応され、業界や地域の中でも「あの会社の広報のYさん」として覚えられるようになっていた。
私が復職したときは、Yさんの下に入り、その後の会社の広報を二人三脚で進めてきた。戻ってきた自分にとって、5年のブランクが気になることはあったけど、彼はいつも朗らかで、真面目で、とても丁寧に対応してくれた。その彼がいたからこそ、自分はかなり自由に動き回り、今までになかった人脈を作ることができたし、そのつながりが広報として大きく貢献することにつながった。
改めて、守りの人であり、会社を支えてくださった方だと思う。とても細やかで、商品の写真撮影のときはスタジオに座り込んでパッケージの見栄えを良くする工夫をしていた。会社のことが大好きで、愛社精神、という言葉の本質や密度のようなものは彼を通じて学ばせてもらったと思う。
数年前に定年を迎え、嘱託になってからは私と立場を入れ替え、今まで以上にサポートに回ってくれた。その心強さに甘えがあったことは自覚しているし、それが彼の負担のひとつになっていたのだと思う。
お葬式には、社内外の関係者がたくさん弔問に訪れていた。会社を卒業した先輩方や、転職した同期たち、元部下、お取引先等々…。そんななか、受付で来訪者をご案内したり、久しぶりにお愛した方とご挨拶していたので気持ちが張っていたのかもしれないけど…通夜も告別式も、結局は涙を抑えることができなかった。同僚に見つからないように、会場の端で、また告別式のときは出棺の見送りの最後尾だったので、気づく人はいないと思っていたけど、翌日以降、皆がとても優しかったのはたぶん見られていたんだろうな。
亡くなってから、彼のデスクを少しずつ整理しているけど、ほんとに裏表なく、誰かに当たることもなく、真面目に誠実に生き抜いたんだな、と振り返り、彼の不在を感じて寂しくなる。
本当に、本当にお世話になりました。ありがとうございました。
あなたが大好きだった会社で、あなたが支えてきてくださった職場で、これからも頑張っていこうと思います。そして今よりもっと良い広報になって、良い会社にして、いつか「あれすごかったね」と言っていただけるようになりたいと思っています。そのときまで見守っていてください。あなたの存在感は、やっぱり私にとって何より心強いものです。これからも宜しくお願いします。
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